【不親切なアニメ評】銀河特急☆ミルキーサブウェイー総合評価👑(最高!)3Dアニメの歴史が変わったー

当ブログのアニメ評は、ネタバレありきで話を進めます。しかし、詳細に内容を記載しているわけでもありません。実際にアニメを楽しんだ人向けに書いています。ですから、一度観た前提で突然感想を述べていくという大変不親切なアニメ評です。

かん

ぜひ、アニメをお楽しみになってからご覧ください。本作は、YouTubeで全話視聴できます!

今回紹介するのは、忖度なしで最高評価の『銀河特急☆ミルキーサブウェイ』。

アニメ史に残る作品となるでしょう。

なんと、この作品の土台となったのは一学生の卒業制作。

一人の才能を中心に、既存のアニメ概念にとらわれない傑作が誕生しました。

100はくだらない数のアニメ作品を視聴してきた私が太鼓判を押します!

文句なしに面白く、全部で45分という短さもあり、あっという間に見終わります!

目次

作品概要

作品名:銀河特急☆ミルキーサブウェイ

監督:亀田陽平

放送:2025年7月-9月(媒体:YouTube)

※2026年冬に映画が解禁予定

良かった点

既存のイメージを覆す「アウトロー×コミカル」の化学反応

これまで3Dアニメというと、どこかお上品で、優等生的な作りが目立つ作品が主でした。

ディズニー作品などが分かりやすいと思います。友情、希望、夢、プリンセスなど、全世代が安心して視聴できるような世界的作品群です。

しかし、その「上品」という枠が、3Dアニメの可能性を狭め、予定調和になりかけてきたのも事実でした。

『銀河特急☆ミルキーサブウェイ』(以下『ミルキー』)は、そういった今までの固定観念を突き崩しにきた作品だと思います。

『ミルキー』の主役たちはほぼ前科ありのアウトローです。会話の中に煌びやかな夢などはありません。ですがその意外性が、3Dアニメ作品にあらたな生命を吹き込みました。

アウトローな登場人物たちの会話は非常にコミカルで、テンポよく進みます。優等生的な押し付けがましさがありません。教訓とか道徳的側面を完全にそぎ落とし「エンターテインメント」であることの一点に集中しているように思えます。極限まで削ぎ落す、という美しい在り方です。

「声」が命を吹き込んだ。徹底して自然体な演技

私が一番驚いたのが「あまりにも自然な声、自然な会話、自然な演技」です。

アニメをあまり好きでない人に理由を聞くと、ツートップであがってくるのがこちら。

  • アニメ特有の甲高いキンキン声
  • わざとらしい演技
かん

わかります!

私も正直、あまりにもキンキンしたアニメ声わざとらしすぎる演技は嫌いです。

「なんでこんな中途半端なところで感情込めるの?」とか「キンキン過ぎて頭痛い…」とかもう、作品に集中できませんので…。2次元のドラマや映画も同じですよね。演技が棒すぎても感情込めすぎても不自然です。

おそらく『ミルキー』も、アニメ界に残る不自然演技からの脱却を図ったものと思われます。

主人公たちの第一声で驚きました。

自然。あまりにも自然!日常で電車に乗ったり買い物をしたりしている中で、後ろから聞こえてきそうなくらいに自然体な会話、トーンなのです。そしてその会話が、違和感なく作品のアニメーションと溶け込み、没入感を極限まで高めています。

恐らく、アニメファンが密かに待ち望んでいた演技です。

今までのアニメ演技は全体的に、肩に力が入りすぎていたのです。

ファンタジーだからと言って、演技までファンタジーに寄せなくて良いのです。感情ゼロか100かの極端なふり幅が目立ちました。

感情20とか30の絶妙なラインを体現しきったのが『ミルキー』です。

演じきったのは、プロの声優さんです。

実は『ミルキー』には、前作に『ミルキー☆ハイウェイ』(以下『ハイウェイ』)という作品が存在します。監督、亀田氏の卒業制作にあたるものです。『ハイウェイ』は、声を声優科の学生が担当しています。

正直『ハイウェイ』の声はいまいちでした。従来の「肩に力演技」が抜けきっていません。亀田監督も「自然な会話を」というリクエストを声優さんにしたそうですが1、声優さんからは「難しい」という声が挙がったそうです。つまり、声優科で学ぶ内容はまだまだ従来の「不自然な肩に力演技」ということですね。

それを払拭してのけたのが、『ミルキー』で新たに配置されたプロの声優さんたちです。現役の声優さんたちが、革命を起こしたわけです。声優科の若い力は革命を起こせなかった、というのは興味深い現象です。

恐らく、プロの声優さんでないと起こせなかった革命だと思います。

これまでも、アニメのキャラクターボイスに俳優や一般人を起用する例は多々ありましたが、やはり声優経験がないと「棒」か「力入りすぎ」のどちらかに振り切ってしまうようです。経験なしで素晴らしい演技ができるほど、声優業は甘くないという現実を突きつけてきます。

かん

なので私は、声優さん以外の配役が好きではありません。

そう考えると、プロフェッショナルだからこそ起こせた革命、ということができるでしょう。

亀田監督のリクエストに応えきった声優さんたち。お見事です。

「自然体」を感じさせた理由としては、もうひとつ、「重なるキャラたちの声」という要素もあります。

例えば、突然機械に不具合が起こる場面などで、その場にいる人たちがひとりひとり順番に分析して順番に見解を表明することってあまりないですよね?「壊れた!」となったら、一斉にああだこうだと騒ぎだします(笑)。そういった「秩序の乱れ」「大騒ぎ」の演出が非常に巧みです。各キャラのセリフが重なるのでそれぞれ何を言っているのか分からなくなるのですが(笑)、それが、リアリティの演出に繋がっていて感心するのです。

緻密に計算された「3組6名」のキャラ配置

『ミルキー』のメインキャラは6名。2人一組という構成です。

まず、メインどころのチハルマキナ。卒業制作『ハイウェイ』でも登場します。当初、2人の設定は警察官だったそうですが、「警察よりも警察に追いかけられる側のほうがアクションとして展開しやすかった」という理由で設定変更されます。2キャラの魅力云々の前に、作品の完成度を上げることを優先させる変更です。

他の2組についても、「こんなキャラが好き」という願望ではなく、あくまで作品全体のバランスを重視しているようです。「キャラを並べたときに色のバランスが取れるような配色」「アカネをつくって、ペアとして少年キャラみたいなのがいたほうがバランスが取れるなと思い、カナタを追加してみた」というインタビュー記事3からも、作品全体のバランスを大事にされていることが分かります。

結果、監督の狙い通りに各キャラが躍動し、全12話の中で誰一人埋もれることなく魅力を輝かせます。3組ぞれぞれのパワーバランスがずば抜けているのです。監督が特定のキャラや要素に肩入れすることなく、常に全体のバランスを考えて作成したからこそできたことです。

「狙って作られた」ことを確信させる、プロの構成の凄みを感じます。

かん

ああ、この作者このキャラ好きなんだなあ…って視聴者に悟られたらダメだと思うんですよ。

「3分半×12話」という潔い勝負

『ミルキー』は作品の尺も異色です。

約3分半×12話。全話視聴しても45分ほどで収まります。

従来のアニメは25分×12話、25分×23話、といった大きなまとまりがほとんどなので、この短さは衝撃です。

亀田監督曰く「当時の自分の技術力で可能な範囲を考えて」4

従来の枠に当てはめるのではなく「自分にできる範囲」をスタート地点にしています。

だからこそ、制作のほとんどにご自身が関わり、心から納得いく作品を作り上げることができたのでしょう。

尺を短くすることで、ストーリー展開がぎゅっと濃縮され、間延びがなくなりました。

短尺だからこそ、無駄なく、完成度の高い作品が出来上がりました。結果、何度もリピートしたくなる中毒性が『ミルキー』に生まれたと言えます。

気になった点-唯一の「贅沢な悩み」

亀田監督を中心としたプロの仕事により、今の3Dアニメに一石を投じる作品となった『ミルキー』。

単なる「良作」以上の価値を生み出しました。

ほぼ全ての工程に携わった亀田氏の舵取りは驚異的です。

アニメ史に残るであろう傑作が生まれ、当然、視聴者からは続編を望む声が次々と生まれることとなりました。

唯一の懸念点がここにあります。

ほとんどケチをつけるところがない傑作の次回作。『ミルキー』を超えるのは至難の業です。

「現状維持は衰退」という言葉があるように、同レベルのものを作り上げても恐らく視聴者は落胆してしまうのです。『ミルキー』で目が肥えてしまったからです。

かん

視聴者というのは、贅沢ですね(笑)!

更なるステージへ昇華させるか、まったく別のアプローチで魅了するか。

切実に、期待と不安が入り混じる状況です。

2026年2月に新たな映像を加えた劇場版が公開されることが決定しているので、まずは、映画を待ちわびることといたしましょう。

まとめ 全ては亀田氏のディレクション

全体のバランス、完成度を見極める力量が求められる「監督」という立場。

亀田氏は己の力量を把握し、自分にできる範囲の尺で作品に取り組むことで、見事にアニメ史に残る傑作を生みだしました。

声優が「プロ」になったことも大きいでしょう。現実の日常と変わらないトーンでキャラたちの会話が繰り広げられた瞬間、「アニメ史の中でとても重要なことが起きている」と戦慄したのを覚えています。

わざとらしい力みすぎ演技、キンキン声…いわゆる「劇団演技」からの脱却。

様々なアプローチからの「変革」が、爆発的な相乗効果を生み出しました。

革命は1人でも起こせる。

1人だからこそ起こせた、と言えるかもしれません。

45分で歴史が変わるような体験をすることができました。

かん

ありがとう『銀河特急ミルキー☆サブウェイ』!!!


  1. VANTAN GAME ACADEMY専門部ブログ https://www.vantan-game.com/blog/20220823/7268/ ↩︎
  2. CINRA『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』完結。実制作のほとんどを担当した亀山陽平監督に制作秘話を聞くhttps://www.cinra.net/article/202509-kameyama-yohei_imgwyk ↩︎
  3. CINRA『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』完結。実制作のほとんどを担当した亀山陽平監督に制作秘話を聞くhttps://www.cinra.net/article/202509-kameyama-yohei_imgwyk ↩︎
  4. アニメ!アニメ!「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」展覧会レポ&亀山陽平監督インタビュー 話題のレトロフューチャーアニメの制作秘話に迫る https://animeanime.jp/article/2025/08/07/92148.html#google_vignette ↩︎
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